廃帝綺譚(宇月原晴明)

安徳天皇漂海記 』の続編。それより、外伝という感じかなぁ。

マルコ・ポーロがこの世を去る前に記した「驚異の書」。元や明の皇帝たちに、その書と共に密かに伝えられた日本の「混沌(水蛭子)」の一部。元の最後の皇帝、明の二代皇帝と最後の皇帝。皇帝達は、その蜜色の珠の不思議な力によって救われる。
そして日本では、隠岐に流された後鳥羽院が代々皇太子に伝えられているという「淡島」を手にする。それは、イザナギ、イザナミから2番目に生まれた人ならざる御子と伝えられし小珠であった。

前作に続き、皇帝達の美しく、哀しい4編のお話でした。皇帝達の切なる願いによって、珠が起こす不思議な奇跡。その妖しい魅力にすっかり魅了されてしまいました。”美しい”という表現でいいのかわかりませんが、この作品も、読み終わった時に「ほぉーぅ。」と、思わずため息をついてしまった。雅な薫の漂う文章でした。なんだか、まだ夢の世界にいるような感じ。

それにしても、あの最後から、どんな風に続編が描かれているんだろう、と思っていたら・・・。マルコ・ポーロってば、あのドサクサに紛れてしっかり持ち帰ってたのかーっ!?と、背中をバシバシと叩きたくなりましたねぇ(笑)でも、最後には、あの書も葬り去られてしまって・・・。あの場面では、思わず物語の中へ入り込んで、あの書を自分で奪い去りたくなってしまいましたよ。これで、あの蜜色の珠を巡る不思議な物語に会う事もなくなるのか・・・と、ちょっと寂しさを感じてしまったり。でも、書は葬られたけれど、珠が消滅した訳ではないしね。いつかまた、あの蜜色の輝きに会える日がくるといいなぁ、と思います。

私的にはですね、最後の後鳥羽院のお話よりも、中国編の3編の方が読みやすかったんだよね。日本編よりも中国編の方が読みやすいって、なんだか日本人失格のような気がしないでもないんですけど・・・。普段、読み慣れない文体や言葉に、ちょっと戸惑ってしまうこともありました。それでも、ぐいぐいと読ませるところが、この作品のすごいところなんでしょうね。

廃帝綺譚

この記事へのコメント

2007年09月26日 22:43
この作品も幻想的で美しく、そして切なくて
読み終えた時に本当に満足の吐息を洩らしてしまう一冊でしたねぇ。
すずなさんのマルコ・ポーロへの突っ込みに思わず笑ってしまいました(笑)
確かに、その通りかも!

すずな@主
2007年09月27日 10:57
>エビノートさん
前作の雰囲気をそのままに、幻想的で切ないお話の数々。すっかり魅了されたまま最後まで読んでしまいましたよね。
それなのに、私ってば思いっきりくだけた突込みを入れてしまって・・・^^;笑ってもらえて良かったです(笑)
2007年09月27日 22:16
すずなさん、こんばんは(^^)。
TB&コメント、ありがとうございます。
こちらからもお返しさせていただきますね。

マルコへの突っ込み、私もやってみました。
「こ~の、ちゃっかりサン!」がこん!(←どついた音)
・・・う~む、品がなさすぎかしらん。

それはさておき、前作同様に幻想的な美しさ、廃帝たちに漂う儚いまでの哀愁。いや~、めろめろになってしまいました。
すずなさんは、異朝の物語の方が読み易かったですか?結構皆さん、割れるみたいですね。本朝側と異朝側に。どちらも良いのだけど、こっちの方が共感する、とか、歴史観になじみがあるとか、そんな分かれ方で。
私は本朝派ですが、「驚異の書」が焼かれた時には、「あぁ!ちょっと待って!」と、息を呑みました。
幻想的で、美しい物語、とっても良かったですね。
すずな@主
2007年09月28日 07:10
>水無月・Rさん
マルコへ突っ込みありがとうございます(笑)でも、”がこん!”って~うははは(笑)激しい★

前作に続いて、幻想的で儚い美しさにため息でしたね~。
何故か、異朝の方が読みやすく感じたんですよね~。本朝の方は史実を知ってる分、ファンタジー要素に馴染み難かったのか・・・よくわかりませんが^^;;;
でも、どちらも良かったです!よい作家さんにめぐり合わせていただきました。

この記事へのトラックバック

  • 廃帝綺譚 〔宇月原 晴明〕

    Excerpt: 廃帝綺譚宇月原 晴明 中央公論新社 2007-05売り上げランキング : 99986Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 元末の順帝、明の二代建文帝、明朝に幕を下ろせし崇禎.. Weblog: まったり読書日記 racked: 2007-09-26 22:38
  • 『廃帝綺譚』/宇月原晴明 ◎

    Excerpt: イザナギ・イザナミ神の産みたもうた長子(だが子とは数えられていない)、「水蛭子(ひるこ)」。天皇家代々に伝わる「3種の神器」とは別に、天子を護る類なき秘宝として受け継がれてきたその「水蛭子~真床追衾(.. Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。 racked: 2007-09-27 21:49