れんげ野原のまんなかで(森谷明子)

本屋を舞台にした「配達あかずきん」を絶賛していたら、『しんちゃんの買い物帳』のしんちゃんにこの作品を教えていただきました。
本好き、図書館好きには堪らない作品ですね~!特に、私みたいに図書館に大変お世話になってる身にとっては、興味深く読める作品だと思います。

図書館を舞台にしたミステリー連作短編集。図書館で起こる謎を図書館司書たちが解いていくというもの。悲惨な事件もあるのだけど、どのお話も最後はちょっとほっとして、ほんわかとなれるものばかり。
ただ、ミステリーとしてはどうかなぁ・・・と疑問符。どのお話もミステリー仕立てにはなってるものの、「え?どうなってるの?どういうこと?うっわーそれかぁっ!」というものではない。どれもが、「あ~そういうことね。」と読みながら分かってしまう。っていうか、”謎”にはなってないような気がするんだけど。最初から、読み手には手の内を明かしている、という印象を受けました。そこはちょっとツマンナイというか・・・物足りなさを感じてしまいました。

ススキ野原の真ん中にたつ秋庭市立秋葉図書館。そこで働く、文子と先輩司書の能瀬と日野。お客さんもなかなか訪れない暇な図書館で起こる不思議な出来事。文子はその謎を解こうと奮闘するが・・・。

・第一話 霜降-花薄、光る。
読みながら、どうも喉に小骨が引っかかっている感じで・・・。これって、こういうのって、覚えがあるぞ。何だっけ?何だっけぇぇっ!?うぅ~思い~だ~せ~な~いぃぃーっ!とモヤモヤ。能瀬さんが少年に訊いた一言ですっきり氷解。とある作品の主人公の名前だったんだけど、「おぉっ!それだよ、それそれっ!!」と口をついてしまいました(笑)あ~すっきりできて良かった。
最後に、能瀬さんが少年達に力説する言葉がとっても印象的。涙もろい私は、当然のことながら目頭が熱くなりました。本の一番の魅力はそれだもんね。

・第二話 冬至-銀杏黄葉
文子が騒ぎすぎのような・・・。「私が絶対に犯人を見つけてやりますっ!」って奮闘するのはいいんだけどさぁ・・・。読んでる方としては、だいたいどういうことか、誰が関係してるのかっていうのはわかってて。だから、能瀬さんじゃないけど、ちょっと静かに見守っててよ。そこまで大騒ぎするようなことじゃないでしょ!って気分でして・・・。鈍すぎ。というより、あんなやり取りがあったのに、文子が気付かないってちょっと不自然な気がしたんだけど・・・。なんか読んでてイライラしちゃって、文子が嫌いになりそうでした・・・。

・第三話 立春-雛支度
犯人の目星がついてしまって、イマイチ感が・・・。「どうして?」という動機までは予想できなかったけど。でも、種明かしで「そういうことかっ!」と膝を打つまではいかなくって・・・。うーん。

・第四話 二月尽-名残の雪
読みながら、秋葉さんちを探検したくなったんだけど(笑)でも、ちょっと迷子になりそうかも・・・。出来れば秋葉さんの奥さんをもっと前面に出して欲しかったなぁ、なんて思っちゃった。能瀬さんじゃなくて、奥さんに謎解きをしてもらいたかったなぁ。まぁ、でもね。この作品は文子が悩んで能瀬さんがホレっと謎解きをするってのが形式になってるみたいだし。・・・やっぱ、読者のわがままですね(笑)

・第五話 清明-れんげ、咲く
一番、悲惨なお話でした。”本の中のとある言葉たちだけが塗りつぶしてある”その場面を読んだ時には、心臓をぎゅっと掴まれたような気分でした。でも、ラストは、笑顔全開とはいかないまでも、ふっと微笑めるような感じでほっ。
そしてそして。ここで出てきました!『床下の小人たちエビノートさんのレビューでこの作品の中で出てくるって知ってたので、いつだろ?どこで?まだかな、まだかな?とワクワクしながら読んでたんですよぉぅ!そうかぁ、こんな風に出てたのかぁ・・・。このお話を読んだら、続編がとーーっても読みたくなっちゃうよなぁ(笑)図書館か、もしくは本屋さんか、探してみなきゃですねぇ。

今頃、秋葉図書館の周りは黄金色に染まり始めている頃でしょうか?春はピンク。夏は緑。秋は黄金色の波の中にぽつんと建つ図書館。一度、訪ねてみたいです・・・。


れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)

この記事へのコメント

2007年09月19日 16:23
ミステリフロンティア自体がミステリ度が薄いですね。これは出版社の意向なのかなあ??
だけどこの作品は本好き&図書館好きにはニヤリっすね。
2007年09月19日 19:46
すずなさん、こんばんは!
ミステリとしては、確かに物足りない面もありますね。
しんちゃんのコメントにあるように、このレーベルはミステリ度は薄めで、それ以外の部分で読ませるということなのかもしれませんね。
森谷さんの『七姫幻想』『千年の黙』などもなかなか良いですよ~。
すずな@主
2007年09月20日 10:48
>しんちゃん
素敵な本のご紹介、ありがとうございました!
たしかに、この本といい成風堂書店シリーズといいミステリ度は薄いですね。意向なのかもしれないですね。

>エビノートさん
ミステリ以外で読ませるという点は、とっても頷けます!そういうことなんでしょうね。
他の作品も良かったんですね~。早速、探してみます~。楽しみー。
2007年11月14日 22:18
すずなさん、こんばんは(^^)。
図書館好きにはたまらない作品でしたねぇ~。秋葉図書館、いいなぁ。司書さんがちゃんと仕事にプライドを持って取り組んでる感じがして、とってもいいです。
続編、出ないかな・・・『水田のまんなかで』もなかなかオツだと思いますが(笑)。
すずな@主
2007年11月15日 11:11
>水無月・Rさん
ついつい自分の利用する図書館と比べてしまいますよね^^;;;現実は、なかなか厳しいものがあるような気がしますが・・・。
続編、読んでみたいですね~。『水田のまんなかで』には爆笑しちゃいました!うーん。「稲穂のまんなかで」とかもどうでしょう?あ、それじゃ、秋限定になっちゃうか(笑)

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