白い薔薇の淵まで(中山可穂)

哀しく激しい恋愛小説。

随分前に友人から借りたまま、なかなか読めずにいて、今回ようやく手に取った。実は、ぶっちゃけるとね、この手の小説は少々、苦手なんだよねぇ。内容ではなく文章がね。最初を読んだところで「あ、これは・・・」と思う。でも、せっかく貸してくれたんだし、最近は最初で慄いても、読み進むうちにどっぷりハマったりすることが多かったんだよね。そう自分に言い聞かせて読み進めた。と、なんだか目が離せず、本の薄さも手伝ってそのまま一気に読了。

タマラナイ。

冒頭を読んだところで、過去を懐かしく振り返る小説だと思っていたけれど、ラストを読んだところで、ある意味、呆然となる。うーわー。主人公は、このラストから冒頭までの10年間を、どうやって、どういう思いで、過ごしてきたんだろう。それを思う時、涙しそうになる自分を止められない。タマラナイ。

恋をするのに、性別とか年齢とかは関係ない。自分以外の誰かのことを、ここまで恋焦がれ、自分の全てを削り、求める。私には、恐らく一生出来ないことだと思う。今まで付き合ってきた自分のことだからよーく分かる。だからこそ、羨ましいなんて言葉じゃ足りない気がする。妬ましい。いや、憎らしい。でもね、逆に出来ないと思うからこそ良かったなーとも思う。矛盾してるけどさ。こんな激しい恋をしたら、ボロボロになっちゃうもん。辛いとかシンドイなんて言葉じゃ言い表せないくらい、まさに命懸けな恋になるんだろうしね。
・・・なんか、私ってばすごい告白をしてないか?(笑)

こういう文章は苦手であることに変わりはないけれど、この小説は読めて良かったと思う。紹介してくれた友人に感謝。


*****
この小説を読みながら、ある男の子のことを思い出していた。
ボン(もちろん仮称。坊の意。本当にそう呼ぶのがピッタリな感じ(笑))は、手話サークルで知り合った。ある時、エイズ関連の講演会があって、その通訳を頼まれた。講師はゲイ(この言葉、使っていいの?不適切なら指摘して)のエイズ感染者。彼の著書や資料に目を通し、恐らく必要になるであろう性関連の単語の手話を集中的に学習する中で、ボンが呟いた。「ボク、どーーーしても理解できません。男が男を好きになるなんて・・・。」まさにボンが言いそうなことだったんで、ま、理解できないんならしょうがないよなー、頭で理解することじゃないしなーと思いつつも、お節介なお姉さん方が寄ってたかってアレコレと講釈を垂れまくった。出来れば色眼鏡無しで、講演者の話を素直に聴いて、通訳して欲しいって必要性も感じたんだと思うけどね。それくらいボンの拒否感は強かった。その時は、教師をしている彼女が言ったとある言葉に、「あー分かりました。そいうことなんですねっ!」って、ボンは納得したんだけど。その言葉に納得したボンは、恐らくこの小説はね、やっぱり「ボクには理解できませんっ!」なんだろうなぁ・・・。

白い薔薇の淵まで

この記事へのコメント

2007年06月19日 22:19
すずなちゃんも読んだんだ。えへへ…と笑ってごまかしてしまいそうです。(^^;
この本は印象が強くて、好きだけど人に勧めるのが難しい。この胸の詰る感じ、言葉に詰まる感じがなんとも言えなくて。
こんな恋、自分の身の上に起きたら、息ができなくなりそうです。
すずな@主
2007年06月20日 06:47
だって、誰かさんのオススメだったじゃないのーっ(笑)
あまね
2007年06月21日 00:44
だから、笑ってごましてみようかな、と。笑
勧めたものの、こっぱずかしくなっちゃった。
勧めた本から、恋愛は酔うものと思う自分がすけてしまうじゃないですか。(^^;;;
すずな@主
2007年06月21日 16:04
うふふふ。
うん、気持ちは分かる。
2008年04月23日 23:20
すずなさん、こんばんは(^^)。
物語のラストから冒頭までの時間が描かれなかったことに気づいて、私も愕然としました。
その間、どんな嵐が吹き荒れ、痛みに泣く日々がどれだけあったか・・・。
冒頭が淡々としていただけに、切なさが迫りますよね。
すずな@主
2008年04月24日 16:30
>水無月・Rさん
最初と最後の間にどんなことがあったのか・・・想像するだけで愕然としちゃいますよね。堪らない気持ちになります。

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