失われた町(三崎亜記)

SFというよりも、私的には恋愛小説という感じかなぁ。切なさに何度、心臓をぎゅぅぅぅっと鷲掴みにされたことか・・・。読み終わって、すぐに最初の章を読み直す。読み直させるというか、読み直すしかないって方が正しいけど(笑)すると、色んなことがすーっと腑に落ちる・・・というか。あーこういうことか!という感じで。上手いなぁ。思わず唸る。

30年に一度、町が消える。突然、その町に住む人々が意思を持った”町”によって消滅させられる。大切な人が突然、消えてしまう。死んでしまうんじゃなく、消えてしまう。そして、残されたものは、「持っていたら町に取り込まれる」という理由で、消えた町や人に関連する様々なモノを破棄させられる。思い出の写真、手紙、町の名前が記されている書物や領収書に至る全てのものを。そして、その町に住みながら消えなかった人はその町に関する全ての記憶を失くす・・・。

もぅ、ほんっとに切ない。そんな恋愛小説。
ただ、SFとしてはどうか・・・。設定も展開も面白いんだけど、もう少しこの世界を分かりやすく描いて欲しかったなぁ、というか。私の理解力不足なんだろうけど、もう少し説明というかそれが欲しかったかな。どうして、”町”が消えるようになったのか、とか。”町”についての記述?がオブラートに包まれているように曖昧な感じ。あと、居留地のこととか。専門用語?が出てくると、最初は意味がわからないという感じでね。もうちょっと親切さが欲しいと思ってしまいました。
それとねー。どうして、桂子さんだけは「桂子”さん”はなんたら」とか「桂子”さん”はどうした」って”さん”付けなんでしょうね?他の人は「のぞみはなんたら」とか「信明はどうした」とかなのに。なんだか、そこがとっても不自然な印象を受けました。私は気付かなかったけど、何か意味があったのかなぁ・・・。

失われた町

この記事へのコメント

2007年08月04日 16:03
独特の世界観でしたね~。
その世界観に入り込むまでは大変でしたが、入り込んでからはすんなり読むことが出来ました。
説明不足の設定ありましたね~。
西域や居留地など、他の作品にも登場したらいいなぁと、ちょっと期待してます。
すずな@主
2007年08月05日 06:53
>エビノートさん
この世界観は独特で、クドイ説明は遠慮したいですが、もうちょっと説明が欲しいなぁ、と思っちゃったんですよねぇ^^;自分の理解力不足を棚に上げてるような気もしますけど・・・。
あ~そうですね!居留地とか他の作品に登場して欲しいです。
香桑
2012年03月05日 14:49
最初の最初から泣き通しで読みました。
ファンタジーだと思ったら、説明がなくてもいいやと深く追求せずに受け止めました。登場人物たちにとってもよくわからない「町の消滅」だから、その仕組みを説明する神の目線はなくても、私は気にならなかったです。
桂子さんとか、中西さんとか、敬称がついている、ついていないは、各エピソードの主人公が登場人物をどう呼んでいるかによって、使い分けていたのかな?
切なくて、でも、どの人も力強く時間を乗り越えていく、甘い恋愛小説でした。
すずな
2012年03月06日 12:37
>香桑ちゃん
最近では、説明が無いのが三崎作品って分かったけど、このころはまだ分かってなかったんだよねぇ(笑)なんか、そんなところでも時の流れを感じてしまいます^^;
敬称の件はそういうことかぁ。てか、そんなことを気にしたんだなぁ、私って改めて記事を読み返して思ったよ(笑)

これは泣いちゃうよねー。ホント切ないお話でした。

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