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zoom RSS さまよえる古道具屋の物語(柴田よしき)

<<   作成日時 : 2017/03/15 14:11   >>

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連作短編集。
ある日突然、現れた古道具屋。人々は誘われるように、その古道具屋で欲しくもない物を買ってしまう。それを手にした人々は、それぞれ抱えた悩みを解決していくのだが・・・。

タイトルだけみると、なんだか柴田さんじゃなくて他の作家さんの作品なのかと思ってしまうんだけど(笑)で、内容も、1話目を読んだ時点ではほのぼの系だと思ってたんですよね。得体の知れない古道具屋の主人に半ば強引に買わされた物によって、人々はそれぞれの未来を切り開いていく、みたいなね。ところが、そう思えてたのは1話から2話目くらいまでで、読み進めていくと、・・・ん?・・・あれあれ?あれぇ〜!?え、そうなるのーーっ!?と、それはそれは予想外な方向へ導かれていくんですよ。気がつくと、最初に思った「ほのぼの系」という言葉が似つかわしくない、そんなお話になっていました。そして、予想以上に時間の流れも早かったですね。2話目で阪神淡路大震災だったんだけど、最後のお話では東日本大震災も起こってて、そちらも意外でした。

人々が古道具屋の主人から買わされるものは実に様々。文章と挿絵が逆さまに印刷された絵本、投入口がふさがれた金色の豚の貯金箱、ポケットの底が破けたエプロン、取っ手が取れてしまったコークスバケツなどなど。最初は意味のない、必要のないものばかりと思っていても、強引に買わされて持って帰ると、なんだか意味のあるものに思えてくる。そうなんですよ。最初は「ガラクタ」だと思っていたものが、だんだんと「自分にとって必要なもの」に変わっていくんですよ。それがね、その人にとっては本当に必要なものだったんだと思えてるうちは良かったんだけど、だんだんと「そうじゃないのかも?」と思えてくると、じわり、じわりと恐怖が湧いてくるんですよねぇ。実は必要ないけど「必要だ」と意味付けしなければという心理が働いて・・・とかね。最初、ほのぼの系だと思った理由の一つが古道具屋の主人の顔だったんですけど。”忍者ハットリくんのお面のような顔”って描写に、ちょっとコミカル路線なんだなぁとすら思ったんだよね。それも、だんだんと不気味に感じられるようになってしまって・・・。この物語に登場する人たちと同じように、読んでる自分自身も、上手く操られているような、というかね、人の思い込みって怖いなぁと感じることになりました。

と、そんなこんなで恐怖を感じるようになった頃に、古道具屋の主人の正体や、その真相が明かされ、途端に恐怖が消えて、切なさや悲しみで胸が一杯になりました。ハットリくんのお面のような顔だったこと、ぶっきらぼうとも言える口調、思いつきのような値段設定、古道具たちの意味など、それは、そうなるだろうなぁとストンと納得出来るものばかりでした。ただ、本当に切なかったけどね。それでも、最後は、古道具も人々の気持ちも、それぞれ納まる所に納まって、良かったなぁと思えるラストでした。

予想していたお話とは違っていたけど、だからこそ、より胸に残る作品となったような気がします。読了後に、あぁ、これは柴田作品だなぁとしみじみ思ったりもしたのでした。




(2017.02 読了)






さまよえる古道具屋の物語
新潮社
柴田 よしき

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