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zoom RSS 明日の子供たち(有川浩)

<<   作成日時 : 2014/09/14 08:13   >>

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はぁ・・・脱力。
今作も有川ワールドにどっぷり浸かった〜と思える1冊でした。

児童養護施設を舞台にして、やる気だけは人一倍の新人職員、3年目の中堅職員、理論派の熱血ベテラン職員、問題のない子供、大人より大人びている子供と5人の登場人物を中心に描いた物語。


有川作品は大好きだけど、でも、実は読むにはかなりの気力が必要。軽いタッチで書かれた文章ですが、内容は全く軽くない。ずっしりと重い。そして、「お前はどうだ?」と容赦なく突き刺さってくる。読みながらグサグサと刺さるものを受け止め、それでも読み続ける。かなりシンドイ。途中で挫折しそうになることもある。でも、それ以上に面白いので、途中では止められない。・・・と、そんなことを繰り返すので気力はもちろん、なんだか体力までも奪われてしまうようで、読み終わるとガックリきちゃいます。

今回もそんな読書となりました。


新人職員の慎平は最初からやってくれちゃいましたね。「かわいそう」という言葉は、どう考えてもイカンやろー!と読みながら突っ込みを入れたんだけど、でも。と、フト我に返る。私はどうかな。さすがに当事者に向かって言葉にすることはないけど、心の中ではどうかな。そう思ってないか?上から目線で。ホントに思ってないか?考え出すと、ぐるぐると気持ちが回って訳が分からなくなる。

それでも、物語は続いていく。

親(家族)と一緒に暮らしていないということは、どういうことなのか。高校を卒業した後の進路やその後の生活についても、そうか!と思ったけど、一番、印象的だったのはカレーのこと。確かに施設で集団生活していると、その時に食べきる量しか作らないんでしょうね。残ったカレーを数日かけて食べるとか、日をおくと実は美味しいこととか、最後はチャーハンやうどんにして食べたりとか。他にも金木犀の香りについても。それを知らなくても、別に困ることでないし、わざわざ教えることでもないんだけど。でも、それが自然と身についてなかったりというのがあり得るのだ。こうやって物語として読むと、あ〜そうかもなぁと思う。

施設を出た後の心の拠り所となる場所の大切さも知った。確かに、そうだろうなぁと思う。でも、そんな施設の維持が難しいことも、少ないことも、この物語を読んで初めて知りました。

ちょっと前に話題になったTVドラマについても言及されてましたね。これは、言いたい、言っておきたい!という有川さんの強い意志を感じるくだりでした。有川さんのというよりも、有川さんが関わった施設に関係する方々の、でもあるんでしょうけど。

それから、読書の力についてのくだりは、読書好きとしては嬉しかったというかなんというか。どんな物語でも良い、それを読んで、笑ったり泣いたり怒ったりしたこと全てが糧となる。何かの折に、ちょっとでも抑止力になったり、後押ししてくれたり、そんなことがあれば良いなと思う。まぁ、私自身、ただただ好きで楽しいと感じるから本を読んでるだけで、そんなこと、これっぽちも考えてないんですけどね(笑)

そういえば、今回は有川作品でも極甘恋愛要素は少なかったですね。いつもなら、「恋愛要素が足りなーい!」とかって、クレームのひとつも言いたくなるんですが、今作に限っては、そういう不満は感じなかった。私にしては珍しい(笑)


最初にも書いてますが、有川作品を読むのは気力を使う。あれこれ自身に問いかけたりもして、グッタリと疲れてしまう。自分の傲慢さや弱さを感じてゲンナリしちゃったりもする。今作でも様々なことを考えた。結局、私はどうかな、という問いには答えは出なかった。色々と考えちゃって分からなくなっちゃったというのが正直なところなんだけど。答えは出なかったけれど、こんなことを考える機会ってそうそうないんですよね。でも、時にはこんな風にぐるぐると考えたりすることは大切なことだと思う。だから、そんなきっかけをくれた、この作品と有川さんに感謝したい。





・・・て、なんか、今回はいつも以上に真面目路線な感想になっちゃったなぁ(笑)いつもは、有川作品だとテンションだだ上がりな記事になるんだけど。ま、たまには、こういうのもいいか〜。




(2014.08.10 読了)




明日の子供たち
幻冬舎
有川 浩

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有川浩/「明日の子供たち」/幻冬舎刊
有川浩さんの「明日の子供たち」。 ...続きを見る
ミステリ読書録
2014/10/07 00:20
明日の子供たち 有川浩
明日の子供たち著者:有川 浩幻冬舎(2014-08-08)販売元:Amazon.co.jp 諦める前に、踏み出せ。 思い込みの壁を打ち砕け! 児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍 ... ...続きを見る
苗坊の徒然日記
2014/11/03 12:10
『明日の子供たち』/有川浩 ◎
ベタ甘じゃないし、怒涛の展開でもない、有川浩さん作品。 いつもみたいにぎゃあぎゃあ言いながら読むことはなかったんだけど、それでもやっぱりグッときました。 児童養護施設の新任職員、中堅とベテランの職員、そしてそこで生活する子供達を描いた、社会派ドラマ『明日の子供たち』です。 なんか、ズッシリきてしまったなぁ。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2015/01/06 20:36
明日の子供たち
児童養護施設を舞台に有川さんが描いた児童養護施設の職員やそこで暮らす子供たちの生活のお話. ...続きを見る
市川在住
2015/01/13 22:33
明日の子供たち 有川浩
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花ごよみ
2015/01/25 23:32

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
やっと読み終えたので、コメント参上(笑)

うちの校区にも児童養護施設があって、子供たちと同じ学校にたくさん通ってる子がいます。あまりに小学校に近い場所にあるので、そこの子っていうのを隠すのは難しいんだけど、子供のほうがそんなの関係なくなかよくやってるなぁ。
大人になるといけないとは思いつつどうしても色眼鏡でみちゃうのよね。

今回もいろいろ考えさせられながら読みました。有川作品読むのは気力を使うっての、すごくわかる!!
でも有川作品の登場人物って、前向きでちゃんと成長していて、私も頑張ろうって思っちゃう。
たまーに違うのもあるけど(笑)
あいぴょん
2014/09/29 14:35
>あいぴょんさん
ご訪問ありがとう!

子供たちの方が余計な知識が入ってない分、色眼鏡でみることもないんでしょうね。自分の子供時代でもそうだったなぁと思いました。

有川作品はいろいろと考えさせられることが多いですよね。でも、私もあいぴょんさんと同じように前向きに頑張る登場人物たちの姿を読んで「頑張ろう!」って思います!
…たしかに全部じゃないですけどね(笑)
すずな
2014/09/30 05:44
「かわいそう」が禁句だってことは、私でさえわかりますけどねぇ(苦笑)。でも、私も慎平の立場になったら、やっぱり彼らのことを可哀想だと思ってしまいそうです。普通に両親から愛情注いで育ててもらった私のような人間が読んでも、どうしたって彼らのことを真に理解することは出来ないんだろうな、と思ってしまう自分がいました。
それでも、彼らのことを偏見の目で見るようなことだけはしたくないな、と思いました。
べる
2014/10/07 00:29
>べるさん
「かわいそう」は禁句でしょう!と分かるけれど、そういう気持ちは自分の中にもあるかなと思えました。べるさんがおっしゃるように、その立場になったことのない身としては、想像は出来ても真に理解することは出来ないんだろうと思います。
でも、分かろうという気持ちだけは持ち続けていきたいですね。
すずな
2014/10/15 05:31
こんにちは。
ホント難しいですよね。そう思っていないつもりでも和泉の高校生の時のようにいつのまにか上から目線になっていると思うかもしれないですし、可哀相と思っていないと思っていても心の中ではどうなのかなとも思いますし。
ただ三田村の最初はホント偽善者の塊だったなと思いました^^;単純だからドキュメンタリーにも影響されたんでしょうし。ただ単純だから←自分の悪いところもちゃんと受け止めて悪いところは悪いと年下でもだれでもちゃんと謝れるのが凄いなとも思いました。
有川さんの作品、私もラブコメだろうなと思えばそうでもないんですけど今回のような作品はよし!と気合を入れないと読み始められません。読み始めたらあっという間なんですけどね〜^^;
苗坊
2014/11/03 12:13
>苗坊さん
ホント難しいですよね。自分の心のことなのに、ね(^-^;
誰に対しても公平だというのは三田村の良いところですね。子供にもきちんと謝罪できるというのは見習わなければと思います。
有川作品は読みだすとあっという間ですが、読み始めるのには気合が必要ですよねー。
すずな
2014/11/04 05:47
すずなさん、こんばんは(^^)。
登場人物たちが、一生懸命ですごくいろいろ考えてて、なんだか自分が恥ずかしくなりました(^_^;)。
「読書」についてのエピソード、嬉しかったですね。
私自身も「何かを得たい」とか考えて読んでないんですが、それでもいつの間にか自分の中にいろんなことが累積されて、励みになったり支えになったりしてると感じます。
水無月・R
URL
2015/01/06 21:33
>水無月・Rさん
そうなんですよー!みんな一生懸命に生きてて、ついつい自分のことを省みてしまいますよね。
「読書」についてのエピソードは読書好きとしては本当に嬉しかったですよね。気づかないうちに自分の中に色んなことが蓄積されてるんだろうなぁと改めて思える部分でしたね。
すずな
2015/01/07 12:48

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