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zoom RSS 先生のお庭番(朝井まかて)

<<   作成日時 : 2012/09/14 05:47   >>

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デビュー作「実さえ花さえ」(文庫化時に改題『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』)でハマってから、新刊を首を長ぁ〜〜くして待っている作家さんの一人。今回は江戸末期の出島を舞台にした、シーボルトに仕えた若き庭師の物語。今作品も、一行目からすーっと入り込めて、そのまま一気読みでした。

主人公である庭師の熊吉は実在の人物なんでしょうか。・・・と思いつつ、そこを調べようという気は全くない私(笑)シーボルトは言わずと知れた方で、お滝さんや娘の以祢も実在の人物。そして、シーボルトの足跡もそのまま描かれているので、やっぱり熊吉も実在したのかなぁ。ということは、この作品はただのフィクションではないってことですね。


日本の草花を西洋に根付かせようとしたシーボルトと、彼に仕え、その願いを叶えようと奮闘した庭師の物語。草花を7ヶ月もの船旅に耐えるように送るにはどうすればいいのか。庭師である熊吉は試行錯誤を繰り返すがなかなか上手くいかない。熊吉の期待や落胆ぶりに一緒になってドキドキハラハラさせられたり落ち込んだりしました。草花を送るのはなかなか上手くいかなかったけれど、その前に、お茶の種を送ることに成功した時は、熊吉と一緒になって興奮しましたね〜!

日本って、自然豊かで色とりどり、様々な植物に囲まれた素晴らしい土地なんだなぁということに気付かされた作品でもありました。日本に住んでいながら、そういうことをあまり考えてこなかった自分をちょっと省みたり。まぁ、住んでいるからこそ、その素晴らしさに気付けないのかもしれないんだけどね。

特に、シーボルトが愛したという紫陽花は、6月生れの私にとっても特別というかね、大好きな花のひとつなんですよね。その紫陽花について触れられている事も多くって、そういう意味でも嬉しかったというか、楽しませて貰いました。シーボルトの家に植えられた紫陽花が咲いている様子は、その風景が目の前にさぁ〜っと広がっていくようでちょっとワクワクしましたね〜。熊吉はその紫陽花の押し花も作るんですよね。出来る事なら、その熊吉が作ったという押し花を見てみたい!と思いました。

シーボルトの草花に寄せる思いと同時に、日本でのお滝さんとの暮らしも書かれていて、お滝さんの思いが切なかった。分かっていたけれど、シーボルトが帰国する事になった時の彼女の気持ちを思うと・・・。そして、同じように日本に残される熊吉だって、同じ思いを味わったに違いないんですよね。叶うのなら、彼らはシーボルトと一緒に行きたかったのかな、それとも、シーボルトに帰国せず、ずーーっと日本に居て欲しかったのかな。どっちだったんでしょうね。物語とは関係ないんですが、フトそんなことが気になってみたり。

そう言えば、日本の草花を愛したシーボルトが、秋に虫の鳴き声を嫌ったのは意外でしたね〜。それがまたね、帰国が分かったシーンで描かれていたので、余計に印象的でした。あぁ、彼はその風情は理解出来ないんだなぁ、一緒に楽しむ事は出来ないんだなぁ、日本人じゃないんだなぁと、様々な思いが押し寄せてきて、帰国の哀しさを倍増させたのでした。

ラストの熊吉と以祢のシーンには思わず涙腺が・・・。ちょっとしんみりしつつ、ふんわりとした優しさに包まれたような気持ちになりました。

来年の梅雨時、今までと違った想いで紫陽花を眺める事になりそうです。



(2012.09.11読了)




先生のお庭番
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『先生のお庭番』/朝井まかて ○
うう〜ん、なんか複雑・・・。 主人公・熊吉(コマキ)の様々な経験や成長、日本の自然の美しさの描写、シーボルトと日本人たちの交流などは、良かったんですけどね。その点は、さすが朝井まかてさんだなぁ、って思うんですよ。 だけど、どうも、シーボルトの真の素性とか駆け引きとか、そういった面はちょっと…って感じてしまったんですよねぇ。 とは言え、事実だし…。 最後の救いは、シーボルトの娘・以祢との邂逅があり、熊吉が心温かく物語を終えられたこと。 『先生のお庭番』である熊吉からみた、あの時代と... ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2014/04/09 16:40

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
すずなさん、こんにちわ(^^)。
実は私も6月生まれで、紫陽花が好きなので、いろいろな紫陽花の描写がとてもうれしかったです。
シーボルトが出版したという『ふろら・やぽにか』、見てみたいですねぇ。
熊吉が、ひたすらにシーボルトに心酔して尽力し成長する姿はとても美しかったのですが、シーボルトの帰国が決まって以降の様々な事実発覚が、とても切なかったです。
熊吉が、最後に以祢と再会できたこと、シーボルトの現状を知れたことは、読者の私にとっても救いでした。
水無月・R
2014/04/09 16:47
>水無月・Rさん
HNから6月のお生まれかな〜と思ってました!紫陽花には他の花とは違った思いを抱いてしまいますよね(^^)いろいろな紫陽花が登場して嬉しかったですね〜。
シーボルトと日本の人々との交流は良かったんですが、おっしゃる通り様々な事実が発覚したのは切なかったですね。でも、ラストは思わず涙腺が緩んでしまいました。
すずな
2014/04/10 12:51

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